2014年2月28日金曜日

救命救急センターの卒業生

多田です。

先日、自分が救命救急センターで当直をしていた時、広島県北部の病院から小児患者さんの受け入れ要請がありました。
感染症に伴う、意識障害の患者さんで、集中治療が必要になるかもしれないタイミングでの紹介でした。
昼間であれば、躊躇することなくドクターヘリで転院搬送となるのですが、時間は日付が変わる間近。ドクターヘリだけでなく、他の消防・防災ヘリも夜間飛行はできません。
陸路で搬送となると、1.5-2時間の時間がかかります。
もしかしたら、今から改善してくるかもしれないけど、その時間を無駄にしたら、治療開始までの時間が遅くなってしまい、患者さんの将来に関わります。
いわゆる「オーバートリアージの容認」は、救急科のモットーですから、結果軽症であったとしても、全然問題ありません。
(コンパクトな搬送用バックです。よくできています。)

それにしても、かなり気が利いた要請です。だれからだろう?と思って確認したら・・・
当院救命救急センターで研修していた、小児科のU先生です。後期研修の一環として、地域医療を勉強するタイミングで県北に行ったばかりでした。

(搬送中に患者さんはよくなり、2人でホッとしたところです)

結果、患者さんは重症ではなく、関係したみんながホッと胸をなで下ろしました。
「疑ったら行動して時間を無駄にしない。」
研修中に身につけてもらった姿勢が活きています!!

2014年2月25日火曜日

病棟急変シミュレーション

多田です。

当院では、救命救急センターのスタッフが中心となって、院内急変に対応するべくシミュレーションを繰り返し行っています。
各病棟で、起こりそうな状況設定をして(たとえば、心筋梗塞の患者さんがたくさん入院していらっしゃる病棟では、入院中に心筋梗塞が悪化する状況など)います。

どの病棟に行っても、数は少ないけど一定の確立で遭遇する「病棟急変」に自信をもって対応してもらえるよう、シミュレーションと振り返り、その後改めてシミュレーションを行っています。

(シミュレーションの振り返り中です)

みなさん、シミュレーションの前後で、見違えるほどの対応の改善がみられます。
これを繰り返し行い、実際に起こった時によりよい対応ができるようになるのが目標です。

2014年2月22日土曜日

病院前医療のあらたな試みが始まります。

多田です。

先日、広島圏域メディカルコントロール協議会の検証医師会議が行われ、参加してきました。
今回の議題のほとんどは、「救急救命士の処置拡大2項目のプロトコール作成」でした。
昨年中に、3項目に対する、実証研究が行われ有用であると判断された2項目について、来年度から処置拡大がなされます。


「低血糖患者へのブドウ糖溶液投与」「心肺停止前患者への輸液」です。
今までは、医師にしかできなかった治療が、病院前で行われることにより、よりたくさんの患者さんの救命と、後遺症の軽減が見込まれます。
よりよい病院前医療を目指して頑張っていかなければいけません。

2014年2月19日水曜日

心の師匠のご講演でした。

多田です。

先日、広島市内の会場で「広島県病院学会」が開催されました。
その特別講演に、来ていただいたのが千葉北総病院 救命救急センター教授のM先生でした。
自他共に認める(?)北総救命マニアとしては、お話を聴きに行かないわけにはいきません。

当直明けの日勤業務を、昼過ぎで切り上げ会場へ。
講演開始前には、控え室にお邪魔させていただき、HEM-net研修のお礼をさせていただき、
広島県ドクターヘリの現状について、お話しさせていただきました。

(M教授と多田と当院フライトナースのO看護師)

講演の中では、我々、HEM-netで研修させていただいた、当院のフライトドクター・フライトナースの紹介もしていただきました。

ご講演は、いつも通り、咀嚼することなく耳に入ってきて、心にしみる内容でした。
「医療職はみんなが患者さんを救いたいという共通の目標に向かって頑張っているから、しっかり話し合うことが大事」
「成功体験の共有が高い目標を目指す原動力になる」
深いありがたいお言葉でした。
肝に銘じて、精進します!

2014年2月16日日曜日

救命士養成所での講義

多田です。

当院救命救急センターのスタッフは、年に数回、広島市西消防署内にある「救命士養成所」(タイガーマスクの虎の穴みたいなところです。)で、講義を担当しています。
センター長をはじめ、みんなで分担して講義に行きます。

(写真の真ん中下におしゃれな西消防署が見えます)

自分は今年度、「胸部外傷」「骨盤四肢外傷」「小児外傷」の担当でした。
「胸部外傷」「骨盤四肢外傷」は2年目で、
「小児外傷」は3年目になります。
救命士養成所の隊員の方々は、国家試験を控えていて、試験勉強に時間をさくほうがいいのでは?と思い、養成所の方に「試験対策をメインに授業した方がいいですか?」とお話ししたところ、「うちは予備校ではないので、現場で役に立つ授業をしてください。」と力強くいっていただきました。

というわけで、試験対策ではなく、それぞれの外傷について、解剖学的・生理学的なスタンスで説明させていただきました。
また、「小児外傷」については、自分が広島に帰ってきて約4年間の症例も紹介させていただき、重症小児外傷を成人と同様に、評価・判断・処置して、そこに小児独特の考慮するべき点があることを強調してお話させていただきました。




この数年間で、小児の外傷に関して、自分が講義でお話しさせていただいたことを、しっかり覚えていただいている救急救命士さんが、「先生、講義で言ってましたよね?」と病院搬送時に話してくれることもあり、こういった院外活動も大事なんだなと痛感しています。
地味ですが、大事な仕事ですので、これからも続けていかなければと思っています。

2014年2月13日木曜日

大阪への転院搬送

多田です。

昨年のことです。
ドクターヘリ当番日に広島から大阪への長距離転院搬送事案がありました。
広島県ドクターヘリの運航要領では、長距離の搬送には「消防防災ヘリ」を優先使用することになっています。

しかし、この日は、広島市消防ヘリコプターの「ひろしま」は対空検査中で運休、

広島県防災ヘリコプターの「メイプル」は、取り付け機器の修理のため運休でした。


そのため、広島県で医療用に使用できるヘリコプターは、ドクターヘリのみでしたので、出番がやってきました。
前日からある程度の情報がありましたので、CSさんが、大阪の天気を読みながら、昼からの出発となりました。
(早朝は雨でした)

途中、岡南空港で給油し、その後は大阪までひとっ飛びでした。

(岡南空港)

(搬送先病院の屋上HPです)

(後ろ姿ですが、太陽の塔が見えました)

患者さんは、フライト中、特に問題なく転院搬送は完了しました。
帰りは、神戸空港で給油し、その後、広島ヘリポートへ帰投しました。

(神戸空港)

往復で約3時間。大好きなヘリコプターですが、独特の揺れと、長時間のフライトでヘリポートに帰投した時にはふらふらでした。
幸い、広島を留守にしていた間に、ドクターヘリがなければいけなかったような要請はなく、無事ミッションを完了できました。
それにしても、ヘリコプターでも大阪って遠いです・・・。

2014年2月10日月曜日

スキー場での外傷事案

多田です。

先日、ドクターヘリ当番日に島根県のスキー場から要請がありました。
スノーボード外傷の患者さんです。
当日、広島ヘリポートは晴れており、現場の救急隊からの連絡では現地も晴れているようです。でも・・・

スキー場だから、積雪が大変なんじゃないか?と思いながら向かいました。
しかし、心配無用でした。
(きれいに除雪していただいていました)

普段使用していない、補助駐車場をきちんと除雪していただいていて、アスファルトがしっかり見えています。
救急車もすぐそばまで来ることができて、活動に全く支障がありません。

島根県のドクターヘリは、今年度から活動開始の我々広島県ドクターヘリよりも早くから運航開始していますので、その経験の差を見せられた気がしました。

ウインタースポーツをされるみなさん、くれぐれも安全に配慮して楽しんでください。

2014年2月6日木曜日

ジャケット完成

多田です。

広島県は、瀬戸内海側は比較的暖かいのですが、北部は降雪量が多い地域もあります。
冬になり、北部に出動するスタッフには、フライトスーツだけでは、寒さがきつくなってきました。
2013年末に広島大学病院のスタッフの方々が企画してくれて、注文していたジャケットが届きました。


こんな感じです。
おそろいのジャケットで、テンション上がります。

2014年2月3日月曜日

ある日の救急外来の1コマ

多田です。

先日、自分が病院責任者だった日の日中にホットラインがなりました。
「○○歳代男性、心肺停止の患者さんです!」
受け入れOKの返事をして準備を始めた時でした。

再度、ホットラインがなり、先ほどの患者さんの追加情報だと思っていたら・・・
別の救急隊からです。
「○○歳代女性、交通外傷の患者さんです!」
一度に重症患者さんが重なると、診療に当たる人数の都合と、病院の各部門の対応が難しく他院でお願いしなければならないことがあります。

(たくさんのスタッフが救急車がくるのを待ってます!)

しかし、この日は写真の様に、上級医も研修医も、病院研修中の救急隊の方も、さらには、1.2次担当の救急外来の看護師さんたちもたくさん集まっていただき、問題なく2列の3次対応患者さんを診療することができました。

必要な患者さんに、必要な医療を提供するため、いろんな方々に力を貸していただいています。ありがたいことです。