2016年2月28日日曜日

あらためて「Tun Back Time」とは?

多田です。

当センターは、「Turn Back Time」をキャッチコピーとして、日々重症で緊急度の高い患者さんを相手に仕事をしております。

以前の記事にもしましたが、最近、「Turn Back Timeってなに?」と聞かれることもありますので、あらためてご紹介させていただきます。

重症救急医療のテーマはやはり「時間」です。
重症であればあるほど、緊急度が高ければ高いほど、より「早く」、より「速く」治療介入することで、生命予後(生きていける確立)が改善したり、後遺症の軽減が期待できたりします。
ドクターヘリや、ラピッドカーなどに代表される、病院前医療も、患者さんへ早く接触し、早く治療を開始するためのツールです。

そのために、救急医は神経をすり減らして、「時間の有効利用」と、「優先順位」を考えた活動を日々行っております。

我々が掲げている「Turn Back Time」というキャッチコピーは、「時間を巻き戻す」という意味です。
「We can turn back time !」=「我々は、時間を巻き戻すことができる!」

「時間の有効利用」と「優先順位」をマネージメントすることで、助けられる生命があります。
実際は、決して巻き戻すことができない時間を、巻き戻したかのように有効利用し、患者さんの救命にあたることを背負い、日々診療を行っています。 

引き続き、ご理解とご協力をお願いします。 

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よろしくお願いします。

2016年2月21日日曜日

スキー場への出動:消防ヘリでの追加医療者派遣

多田です。

今年は暖冬といわれますが、年末からスキー場には雪があるようです。
広島県の北側は、中国山地に位置し、たくさんのスキー場があります。
冬になると、ウインタースポーツ好きの当院スタッフも、スキーやスノーボードに出かけていきます。
(湖も凍っています)

たくさんの方が、スポーツしているって事は、そこで事故が起こる可能性もあがります。
ということは、広島県ドクターヘリとしては、冬場にスキー場の事故事案に出動することも多くなります。

先日、自分が病院勤務の際に、スキー場の事故事案で、ドクターヘリ要請がありました。
傷病者2名で、どちらも重症だと考えられる事案であったため、先着のドクターヘリスタッフが、トリアージ初期治療を、
追加の医療スタッフを消防ヘリで派遣し、追加スタッフが1名の患者さんの搬送を担当するというミッションプランでドクターヘリは出動しました。

当院から、追加の医療スタッフとして、多田と小川Nsが、広島市消防ヘリ「ひろしま」にピックアップしていただき、現場に向かいました。

ランデブーポイントに、ドクターヘリが先行着陸している光景はなかなか見ることがありません。
(遠くに見える、スキー場の駐車場にドクターヘリが見えました)

着陸後、消防の支援車両に乗せていただき、傷病者の元へ。
(ドクターヘリを横目に、消防車両で現場へ)

先着した、フライトドクターの診察と、処置を引き継ぎ、2人のうち、1名の患者さんを当院へ搬送しました。
「複数傷病者事案には、最大多数の医療者を、なるべく早く現場に派遣した方がいいんじゃないの?」
という、共通認識の元、すみやかな追加医療者の派遣と、スムーズな搬送ができました。

広島県ドクターヘリも、スタートから3年がたとうとしております。
その間、事案を積み重ね、議論を重ねたことが、徐々に形になりつつあることを実感した事案でした。
これからも、日常的な活動と、事案の共有と検討を重ねて、よりよいドクターヘリを目指して行きたいと思っています。

引き続き、ご支援とご協力をよろしくお願いします。

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2016年2月14日日曜日

「獨協医科大学越谷病院 救命救急センター」と相互リンクしました。

多田です。

今回は、新しいリンク先について、ご報告させていただきます。
そのリンク先とは、

「獨協医科大学越谷病院 救命救急センター」です。



どんなご縁かといいますと、
当センターの卒業生である、鈴木M先生の現在の勤務先であり、
(送別会で鈴木M先生と)

M先生を慕って、昨年度、佐伯先生も同センターで勤務しており、当センターとはなじみの深いセンターです。
(骨盤創外固定セミナーで佐伯先生と)

あらためてホームページを開設されたそうで、当ブログとも相互リンクを貼らせていただきました。
(懐かしい、当院での鈴木M先生と佐伯先生)

よろしくお願いします。

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2016年2月9日火曜日

交通事故で2名の傷病者:ドクターヘリによるピストン搬送

多田です。

先日、自分のドクターヘリ当番日は、当院救急科の儀賀Drと、橋本Nsと一緒で、医療者は3人体制でした。
生憎のお天気で、広島ヘリポートへの出勤中から、天候不良により出動できなさそうな予感がしておりました。
しかし、常に出動できる準備をしておかなくてはいけませんので、通常通りの着替えと、機材の点検を終了し、当日のブリーフィングを始めようとした矢先にドクターヘリ要請がありました。

H消防からの要請です。
「車の単独事故で、女性がお腹を痛がっている」という内容です。
CSさんに、「傷病者は1名かどうか」を確認していただいたところ、「とりあえず1名」ということです。
幸い、当日は医師2名であり、余裕を持って出動し、広島ヘリポートを離陸します。
離陸直後、消防からの第2報で、「傷病者2名」と連絡があります。
無線で「2名とも救急車でランデブーポイントへ搬送してもらい、そこでトリアージしたい」ことを連絡します。
指定されたランデブーポイントまでは、約10分。
支援隊のみなさんは、現着しており、時間のロスがないスムーズな着陸です。
(救急車の到着を待ちます)

救急隊は、数分でランデブーポイントへ到着し、2人目の傷病者の方は、数分遅れて到着するという情報のため、先着した救急車に乗り込み診療を開始します。
(救急車を待ち構える、儀賀Drと橋本Ns)

医療者3名で、一人目の外傷初期診療を行います。ABCに異常はありませんが、神経学的な異常がありますので、外傷診療に慣れた施設での初療が必要と判断します。
引き続きの、全身観察は儀賀Drにお任せし、

多田は遅れてやってきた救急車に移動し、もう一人の患者さんの初期診療を開始します。
(おなじランデブーポイントへ救急車が集まってます)

ABに問題ありませんが、脈が速く、意識レベルは低下しています。
エコーで腹腔内のFASTが陽性!!
腹腔内出血を意味する所見ですので、医療スタッフに緊張が走ります。

当日の当院の責任者である、伊関Drにホットライン経由で収容依頼し、快諾。
ランデブーポイントに到着した順番とは逆の順番で、病院への搬送を決定します。

二人目の、腹腔内出血の患者さんの搬送は、儀賀Dr・橋本Nsに任せます。
患者さんとともに、ドクターヘリは離陸し、病院へ。

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病院では、腹腔内出血・ショックに対する準備が完了しており、
救急外来で、気管挿管・IABO挿入・輸液・緊急O型輸血など行われます。
同時に、救急外来には、伊関Drより連絡を受けた、外科Drがスタンバイしており、エコーの所見のみで開腹手術を決定し、手術室へ準備に向かいます。

輸液に伴い、循環動態が安定したため、全身の造影CTへ。
腹部の血管損傷による、腹腔内出血と出血性ショックと診断され、そのまま手術室へ。
万全の体制で待ち構えていた、外科医により、開腹の上で止血術が施行されました。
止血がすんだ後の患者さんは、嘘のように落ち着いており、術後、ICUに入室しましたが、同日抜管。
翌日には、一般病棟へ転棟となりました。

もう1名の傷病者は、ランデブーポイントに残った多田が、当院とは別の救命救急センターへ収容依頼を行い快諾。
一人目の患者さんを搬送終了したドクターヘリが、再びランデブーポイントへ戻ってきて、ピストン搬送となりました。

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この事案について、ドクターヘリだからこそ、1人目の患者さんを救命できた要素があります。
まず、傷病者2名とも医師が、トリアージすることで治療の優先順位がつけられたこと、

2つ目に、現場でエコーができ、腹腔内出血の診断がついたからこそ、病院での輸血やIABOの準備、手術室・外科医のスタンバイなどがスムーズにできたこと

他に、ドクターヘリの機動力で、重症と思われる患者さん2名を、別の病院へ分散搬送できたことも良かった点だと思っております。

また、当院での救急科と、外科との連携を進めるために、SSTT座学の開催や、症例のカンファレンスをしたりという、準備や日常的な連携が効果を発揮したことも間違いのない事実です。
緊急O型輸血に関しては、輸血部にいつもお世話になっておりますし、手術室のすみやかな準備に関しては、手術室スタッフの大きな協力があります。

医療スタッフとして、短縮できる時間を短縮し、1人の重症な患者さんを救命できたことは、非常にうれしく、今後につながる事案であったと感じております。

引き続き、病院前からつながる、「質の高い救命救急医療」を目指していきたいと思います。


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