2014年6月15日日曜日

県病院BLSコースが開催されました

救急科の板井です。


先週6/8(日)に県病院でAHA BLSヘルスケアプロバイダーコースが
病院職員向けに開催されました。





BLSコースとは
アメリカ心臓協会(AHA)による
心肺停止時や窒息の対応についての
off-the-job trainingです。
病院の医療スタッフが勤務時間外に集まって行う研修の一つになります。
日本に導入されてもう10年以上たち、全国各地で行われています。





県病院では院内の急変対応のコースとして、
ICLSコースを盛んに取り組んでいます。
こちらは同じく心肺蘇生にかかわるコースですが、
院内での急変対応を中心とし、
それぞれの病院の事情に合ったより実践的なコースです。
また院内では呼吸が原因で心停止になる方も多く、
心停止前の呼吸不全や呼吸停止にも力をいれています。



一方、BLSは院外での心臓が原因で起きる
心原性の心停止の対応に焦点を当てたコースといえます。
近年ガイドラインが改訂されるたびに
より胸骨圧迫(従来は心臓マッサージ)の
質を高めることに重点が置かれるようになりました。
また世界中でBLSコースは開催されており、
世界標準のコースとして世界中で同じ内容で行えるように
プログラムが組まれています。
AHAの教育システムは大変参考になります。


一般の方から見ると、医療スタッフにとって心臓マッサージなんて
病院で当たり前にやっているんだろうと思うかもしれません。
しかし救命センター勤務ならともかく、
一般病棟に勤務する看護師にとって、
心臓マッサージが必要な場面に遭遇することは滅多にありません。
病院にもよりますが、
数年に1回程度や場合によっては
一生に1回あるかないかの方も多くいます。

必要な頻度は少ないですが、
いざ必要になったときには蘇生の現場では
一番大事な手技になるため、
定期的にスキルを磨き維持する必要があるのです。




BLSではまさに心臓マッサージのフルコースです。
成人、小児、乳児など様々な状況での心臓マッサージをやり続け、
翌日には筋肉痛が必発の体育会系の内容になっています。
こんなに1日中心臓マッサージをやるコースは他にありません。
人工呼吸やAEDの使用方法も行ないますが、
一番大事なことは質の高い胸骨圧迫とおしえています。
参加いただいた15人の受講生はみんな翌日は両腕がパンパンになったかもしれませんね。




BLSを受講すると、その後ACLSコースを受講することができます。
これは院内での心肺蘇生チームによる対応に加えて
脳卒中、虚血性心疾患、不整脈治療のシミュレーションも行ないます。
初期研修医の先生には是非2年間の早い時期に受けてもらいたい内容です。


今後はICLSコースに加えて、
県病院でもBLSの開催を増やしていき、
ACLSの開催も計画していく予定です。


院内急変はICLS、
世界標準の院外心停止対応はBLS/ACLSの
定期的なブラッシュアップがおすすめです。

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