2018年7月21日土曜日

ドクターカー再開しています! 熱中症多数傷病者事案

多田です。

2018年7月2日から運行開始していた当院のドクターカーですが、西日本豪雨災害により新生児搬送以外の活動を一旦中止しておりました。
局地災害の医療ニーズは、急性期に大きく、慢性期にはほぼなくなります。
2018年7月20日現在、病院は通常の診療体制に戻っております。
活動中止していたドクターカーですが、
7月18日より運行再開しました。
ご案内が遅くなり申し訳ありませんでした。

2018年7月20日 広島市で熱中症の複数傷病者事案がありました。広島市消防指令係から医師の現場派遣要請があり、ドクターカーで当院の伊関医師が出動しました。
現場指揮所に入り、搬送トリアージを行い搬送先の選定を行いました。

傷病者数13名という初期情報でしたが、集団熱中症事案では必ず現場で傷病者が増える事を過去の経験から知っておりますので、病院では20名程度の傷病者はでるものとして活動を開始しました。
救急外来には、救急外来のスタッフ・救命救急センターから応援のスタッフ・院内DMATも館内放送で招集します。以前の災害の反省から、来院される患者さんのIDを事前に作成してあり、受け入れがスムーズに行われました。
(救急外来にできた本部です)

結果的に当院へ直接搬送になった患者さんは2名で、別の病院に搬送になった患者さんが1名転送となりましたので、当院の受け入れ患者さんの数は3名でした。災害終息時に判明した傷病者数は、21名でトリアージは黄色13名、緑8名で赤・黒の傷病者はいませんでした。(諸説あります。)
最初の患者さんが搬入される際には、当院の救急外来には30名程度の医療スタッフ・事務職員が集合し、たくさんの患者さんを受け入れる準備ができておりました。
結果的に、搬送になった患者さんは3名でしたが、10名15名になったとしても問題なく対応できたと思います。

局地災害対応の基本は
「発災からなるべく早く、最大多数の医療従事者を確保し、医療需要と医療資源のバランスを平常時と同様に戻す」ことです。
これが紛れもない基本行動です!
そしてこのタイミングを逃すと、その後どんなに頑張っても対応は後手後手になります。

「Turn Back Time」
我々のキャッチコピーです。
時間を巻き戻すことはできませんが、あたかも巻き戻したかのように時間を有効活用し、救命できる患者さんを最大限救命できるような活動が我々に求められている活動です。
そのために、現場に医療従事者を送り込み、「活きた情報」を病院へ送り受け入れの準備を遅れることなくはじめさせるために、ドクターカーが活きてきます。
2018年7月20日もたくさんの傷病者が出ていて、多数の消防救急車が出動済みの状況でもドクターカーで医師派遣ができ、早期医療介入が実現しました。
ドクターカー導入の効果と、広島市消防局指令係の局地災害に対しする意識の高さが効果を発揮しました。
これからも、「急性期の初動」にこだわった救急活動を展開して行きたいと思います

2018年7月10日火曜日

豪雨災害2018 災害対応はつづく

多田です。

豪雨災害対応についてです。
多田は、2018年7月6日夕方から7月7日の夕方まで、安芸消防署のDMAT活動拠点本部の本部長をさせていただいたあと、本部長業務を引きつぎ、病院へ戻りました。
(安芸消防署からの帰りです)

(院内も雨漏りがありました)

病院には、たくさんの災害関連傷病者が搬送され、病院スタッフ総出で診療に当たっていました。

過剰な緊張状態から少し解放され、ひどい疲労感を感じました。同日は病院スタッフのご厚意で自宅へ帰り、睡眠をしっかりとらせていただきました。
数年前であれば、「いいえ。力尽きるまで頑張ります」と答えたかもしれません。
4年前の広島市豪雨災害を経験した者としては、被害の規模は4年前よりも大きく、かつ範囲が広いと肌で感じており、災害対応の時間は長くなることが容易に予想できたからです。

翌2018年7月8日は、救命救急センター内に立ち上げていた院内災害対策本部とDMAT活動拠点本部を分け、DMATが参集するDMAT活動拠点本部を立ち上げるために活動しました。
(平時の医療ももちろん維持します)

(情報共有のためブリーフィングです)

当初は参集するDMATがいない活動拠点本部でしたが、夕方になり、2日前に自分達が立ち上げた安芸消防署DMAT活動拠点本部の機能を吸収しました。活動拠点本部長に来院いただき、申し送りを受けました。
さらに翌7月9日に福岡県と島根県、広島県内のDMATが参集する活動拠点本部を立ち上げる事になり、受援の準備をしました。

夜中までDMAT活動拠点本部となる、病院会議室に電源・PCなどを集め、机・イスのレイアウトを行い、そこまでに入っていた情報をまとめて掲示し翌朝の参集DMAT到着を待ちました。


2018年7月9日朝8:00、福岡DMAT15隊、広島市内のDMAT2隊、前日の安芸消防署活動拠点本部に属していた島根DMAT2隊に参集していただきました。
(たくさんのみなさんに集まっていただきました)

広島県DMAT調整本部の指示により、参集DMATの割り振りや地域での公衆衛生的な活動をお願いしました。
(被災の大きかった地域の地図を前に活動方針を練りました)

多数にDMATに活動していただき、広島県として非常にありがたかったです。

ただ、災害当日から対応している医療者として、そして災害急性期の医療介入を目的としたDMATの隊員として、急性期の対応の改善点がいくつも見つかり、歯がゆい思い、申し訳ない思いでいっぱいです。

「時間」を有効活用し、最大多数の傷病者の救命に尽力することが我々救急医の使命です。
まだまだ、災害対応の最中ですが今後に向けた改善点を洗い出し、一つ一つつぶしていきたいと思っています。

2018年7月7日土曜日

広島市豪雨災害 再び・・・

多田です。

デジャブの様なひどい災害が広島で起こってしまいました。
201876日大雨による土砂崩れが、複数箇所で同時に起こりました。
まさに4年前の広島市豪雨災害の再来です。

長い雨が続き、病院も警戒しておりましたが南区の土砂崩れを皮切りに、広島市内のあちらこちらで次々と土砂崩れが発生しました。
豪雨の際には、車のワイパーが間に合わないほどの大雨で、広島市内の各地で冠水しました。
多田は、渋滞に阻まれながら病院に参集しました。
参集後、病院業務を手伝っておりましたが、各地で土砂崩れと現場での医療が必要な患者さんが複数いらっしゃることがわかりました。
4年前の広島市豪雨災害の際に、現場でクラッシュ症候群の患者さんに輸液をし、救助時の心停止を防いだ大賀救命士から多田の個人携帯に電話がありました。安芸消防署の救急係長に昇進された大賀救命士から、「安芸消防署管内の被害が大きく、DMATに来て欲しい」と。そして、安芸消防署署長は、4年前、自分が本部長をさせていただいた、安佐北消防署署長であられたK署長です。K署長に直接電話させていただき「来てください」と言っていただき、DMATとして出動しました。奇妙な巡り合わせです。

世良Dr、小川Ns、村上Logと多田の41チームで通行止めの広島高速を緊急通行し、安芸消防署に到着しました。
消防署ではたくさんの消防職員の方々が、なりやまない救急・救助要請に対応が難しい状況が明らかでした。消防署長さんにご挨拶させていただき、消防の指揮所の隣に場所を作っていただき、DMAT活動拠点本部を立ち上げました。
当初は当院DMAT1隊しか参集できておらず、情報収集に努めました。
本部での情報収集中に、広島赤十字原爆病院DMAT・救護班が参集し、挟まれ救助の現場に出動していただきました。その後、広島大学病院DMATが参集。別の傷病者への接触をしていただきました。
傷病者の皆さんは、なんとか病院への搬送が行われましたが、現場は凄惨で被害は甚大です。
局地災害対応では、最大多数の医療班を派遣することが基本ですので、県外DMATの派遣を広島県DMAT調整本部・厚生労働省への緊急連絡で依頼しました。
ですが、夜間は雨の勢いも納まらず救助現場の安全が担保できなかったため、DMATの活動も制限されたものでした。夜明けに伴い徐々に災害の全貌が明らかになり、たくさんの検索されていない、救助が必要な現場が判明しました。
あらためて県外DMATの派遣を広島県DMAT調整本部へ依頼しました。十分な医療ニーズの把握ができていないため派遣は見送りとなり、県内の限られたDMATでの対応を強いられております。
夜が明けて広島市民病院DMATが参集。4チームでの活動を続けております。
追加のDMAT派遣の予定は立っておらず、活動はいっぱいいっぱいです。

救命できる傷病者のみなさんを、なるべくたくさん救命できるよう可能な対応を続けて行きます。

全国の皆さんのご支援とご協力をよろしくお願いします。

2018年7月2日月曜日

ドクターカー運行開始しました!

多田です。

本日、2018年7月2日、当院のドクターカーが運行開始しました。
先日の運行開始式では、たくさんのみなさんにドクターカーをご覧いただきました。
実運用は本日からです。
(朝の運航前確認中です)

運行開始初日は、伊関先生、多田、小川看護師、ドライバー二人(岩藤さん、烏谷さん)のメンバーでスタンバイしました。
病院の救命救急センター責任医師は世良先生です。

(初日のドクターカーメンバーです)

朝のブリーフィングから始まり、午前中に現場救急の要請が1件ありました。
現場で傷病者と接触し、当院へ救急車で搬送となりました。

午後には、新生児の迎え搬送があり、広島市内の産婦人科医院へ新生児科の医師が保育器と搬送し機材を持参しました。

初日、2件の出動を経験し、たくさんの改善点が見つかりました。
デブリーフィングでその内容を共有し、次につなげられるようにしました。
とにかく、初日を事故なく無事に終了できたことに安堵しました。

広島で初めてのラピッドカータイプのドクターカーです。
さらに、救急科と新生児科が共用するのは全国初です。(おそらく)
これから、広島県内をはじめ、遠くは山口県の東も出動範囲にできればと考えております。
これから、今まで以上に「攻めの救急医療」を提供していきますので、
皆様のご理解とご協力をよろしくお願いします。