2018年3月3日土曜日

患者搬送・安全走行スキル講習会(EMSSD認定講習)に参加しました!

多田です。

先日、三重県鈴鹿サーキットに隣接する、鈴鹿サーキット交通教育センターで行われた、
患者搬送・安全走行スキル講習会(EMSSD認定講習)を
伊関先生と受講してきました。
一般財団法人日本救護救急財団の講習です

現在、県立広島病院救急科では、ラピッドカータイプのドクターカー運行を来年度内に開始するため準備を進めております。
運行開始時は、平日の日中のみの運行を予定しており、運転手は緊急走行経験のある、消防職員のOBを採用予定です。
運行実績が積み重なれば、徐々に時間帯・日数を増やしていきたいと思っております。
ただし、多数傷病や事案や災害は平日日中だけ起こるものではありません。
すると、ドライバーさんがいないとドクターカーがあるのに休日・夜間の出動ができないことになります。
多田は、5年前にHEM-net研修でお邪魔した、千葉北総病院で天候不良でヘリが飛べず、お手伝いが必要な傷病者がいるのがわかっているのに患者さんにたどり着けなかったという、悔しい経験をさせていただきました。
(HEM-net研修で乗らせていただいた、千葉北総病院のラピッドカーです)

そのため、当院のドクターカーはドライバーさんがいらっしゃらない時に、局地災害や多数傷病者事案が発生した様な特殊な場合、医療従事者が運転して現場に出動できるようにしたいと考えております。
しかし、緊急走行は一般車両の運転とは違い、トレーニングや講習を受けていない人間が突然できるようになるものではありません。消防職員のみなさんは、厳しく先輩から指導され事故のないような運転や運行技術を身につけていらっしゃいます。
一方、一般的な医師・看護師は当然の事ながら、救急科の医師や救命救急センター・救急外来の看護師も緊急走行に関わるトレーニングや講習をほとんど受けていないのが現状だと思われます。
我々は、現在ドクターヘリのスタッフとして現場に出動し、病院前医療の経験を重ねておりますが、そこには頼りがいのある運行会社さん(中日本航空さん)がついてくださっております。運行に関わる調整や、安全確保について、ドクターヘリの先駆的な運行会社として、そして安全管理に関しては医療業界より圧倒的に進んでいる航空業界会社として安全に関する情報提供や講習などしてくださっております。

現在我々が計画している、ドクターカーは病院の事業であり、運行会社は存在しません。
ということは、ドクターヘリで運行会社の皆様にお願いしている安全管理について、我々が責任を持って対処しなくてはならないのです。
ドクターカーを開始するにあたり、もっとも避けなければならないのは現場に出動するスタッフが事故に遭うことです。出動スタッフが事故に遭うと、傷病者数が増え医療スタッフが減るというもっとも「まずい結果」になってしまいます。
そこで、ドクターカーのスタッフは病院前にでるにあたり、なんかしらの緊急走行に関わる勉強をした方がいいのではないかと考え、今回救急科医師2名で講習会に参加させていただきました。
当初は、「患者搬送・安全走行スキル講習会」というタイトルでしたので、救急医が参加させていただくのは場違いかな?思っておりました。

(鈴鹿サーキットに隣接した会場です)

(たくさんの教育用車両が止まっていました)

3日間の講習会に参加させていただきましたが、結果、「非常に、非常に有意義な講習会だった」と感じております。患者さんの病態に合わせた搬送についての勉強はもとより、安全に走行するための理論と実車による体験だけではありません。安全に車から降りる方法、車両の点検の方法など、病院前に出動する可能性のある人たちに安全確保の方法をしっかり教えていただきました。

(鈴鹿サーキットの食堂へ続く地下道です)

鈴鹿サーキット交通教育センターのみなさんも、日本救急救護財団のみなさんもそれぞれの立場から、それぞれの受講生の立場を鑑みていただき、どう活動するべきかについてたくさんの大事なことを教えてくださいました。
講習会中から、伊関先生と
「この講習会は、病院前で医療活動を行う医療者すべてが受講するべきではないですかね?」
と話をするほどたくさんの大事なことを教えていただき、体験させていただきました。
医師の参加は今回が初めてだそうです。
(レーシングカーのシートです)

非常に有意義な研修会でしたので、病院前救急医療を提供する医療スタッフの方々にも、緊急車両を運転することがなくても全員受講してもらいたいなと思える内容でした。
さらに、会場が鈴鹿サーキットの敷地内ですので、余計にテンションが上がりました。

この貴重な経験を来年度から始まる当院ドクターカーの安全運行に活かして行きたいと思います。
日本救急救護財団のみなさん、鈴鹿サーキット交通教育センターのみなさん
ご指導ありがとうございました。教えていただいたことを活かして、
安全にドクターカーを運行していきたいと思います。