2014年9月22日月曜日

ドクターヘリの説明書:シリーズ第3回 ランデブーポイントの種類

多田です。

ドクターヘリは、患者さんを乗せた救急車と、「ランデブーポイント」と呼ばれる臨時離発着場で合流し、救急車内で患者さんの診察を開始します。
シリーズ第3回の今回は、「ランデブーポイントの種類」についてです。

現在、広島県ドクターヘリが使用している、比較的、頻度が高いランデブーポイントは、
消防・防災ヘリ用に整備されたヘリポート


学校のグランド


運動公園などのグランド




駐車場



空き地

空港のエプロン

休耕田

などです。

基本的には、それぞれ、管理をしていらっしゃる方に連絡をしてから着陸することになっていますが、時折緊急を要する場合には、事後承諾になってしまう場合もあります。
場合によっては、患者さんの生命に関わることがありますので、なにとぞ、ご了承ください。

場所とは別に、着陸する場所の路面の状態もいろんな種類があります。

コンクリート、アスファルト、
草地、芝生


などです。

この中で、ヘリコプターの性質上、コンクリート・アスファルトは離着陸のストレスが少なく背の低い草地や、芝生なども比較的安全に着陸できます。

ただ、「土のランデブーポイント」だけは離着陸の際に、地上からの強力な支援が必要になります。

乾燥した土のランデブーポイント(晴れの日の学校のグランドなど)は、離着陸時に発生する、強力なダウンウォッシュにより大量の砂塵が舞います。
砂塵は、近隣の家屋や人などに砂をかけてしまいご迷惑をかけてしまったり、
学校の場合はプールの水に砂が入ってしまって、水の入れ替えが必要になってしまったり、
最悪の場合は、巻き上げた砂塵で視界が悪くなり(これを「ブラウンアウト」というそうです)、
ヘリコプターが墜落してしまう危険性があります。
そのため、土のランデブーポイントでは、散水が絶対に必要なんです。
(離陸に備えて散水していただいています)

消防のみなさん、
「ドクターヘリ安全運航のため、
  散水にご協力をよろしくお願いします。」

そして、自治体のみなさん
「散水が不要なランデブーポイントの
         設定をお願いします。」

2014年9月17日水曜日

1年次研修医、N先生の卒業試験

多田です。

病院としての災害対応は一段落しておりますので、ブログも通常モードとなります。

当院での初期研修の際、救命救急センターでの2ヶ月間の研修が必修となっております。
通常、2年次に2ヶ月間ローテーションが多いのですが、8月に1年次のN先生が、救急科研修にきてくれました。

2年次の研修医の先生や、我々にかわいがられ?(いじられ?)濃密な1ヶ月の研修が終了しました。
土砂災害の日の夜から朝まで、たまたま「救急車同乗実習」でしたので、当院のスタッフだれよりも早く、だれよりも近く、現場にいたことになります。その後、実習を終了し病院へ戻り、一日中働いてくれました。

卒業試験は、当センター恒例の、「全トッピング」のお好み焼きです。
(笑顔で試験はスタートしました)

1枚頼んだのですが、容器は2つ・・・

感極まったのか、最後はやや涙目だったように見えたのは気のせいでしょうか?

申し訳ありませんが、注文の際、マヨネーズトッピングを忘れていましたので、残念ながら卒業は不可です。
また2年次での研修をお待ちしております(笑)
N先生お疲れ様でした。

2014年9月11日木曜日

「その時DMATは・・・、クラッシュ症候群を防げ」2014.9.9のRCC(中国放送)で放送された動画

多田です。

2014.9.9のRCC(中国放送)のニュース6で放送していただいた、DMAT活動のインタビュー動画が、1週間(あと5日間)限定ですが、ネット上でみることができます。

「その時DMATは・・・ クラッシュ症候群を防げ」というタイトルです。
(引き継ぎの時の、当院のDMAT隊)
こちら
期間限定ですが、広島地区以外の方々でもみられます。
よろしければご覧ください。

ずーっと前を走っていらっしゃる先輩

多田です。

先日、呉市で第19回呉腹部救急研究会が開かれました。
当院の佐伯医師から情報を仕入れ、一緒に参加しました。

目的は・・・
但馬救命救急センターのセンター長、小林誠人先生のご講演です。

「京都の自動車暴走による多数傷病者対応」「福知山の花火大会での爆発事故の病院支援」「ドクターヘリ運航のノウハウ」など、小林先生の書いていらっしゃるブログを、少しでも我々がまねできることはないのかと思いながら読ませていただいてきました。
また、センターへ年賀状をいただいたことから、ブログの相互リンクも貼らせていただいておりますが、今まで直接ご挨拶をさせていただいたことがありませんでした。

広島まで来ていただいているのにお邪魔しないわけにはいきません。
仕事を早めに切り上げ、車で呉に向かいます。
幸い、小林先生のご講演の前に会場入りでき、最前列でかぶりつきます。
ご講演は「Acute Care Surgeryとは?」というタイトルで、救急医の我々にとってはグッとくる内容で、仕事への活力をいただきました。
ご講演のあと、懇親会会場で「直撃ご挨拶」をさせていただき、また、広島の土砂災害対応へのねぎらいのお言葉もいただきました。
(多田と小林先生)

純粋な但馬救命救急センターのファンとして、大変貴重な経験でした。
小林先生ありがとうございました。
先生方の背中を、引き離されないように追いかけ続けて行きたいと思います。

2014年9月9日火曜日

DMAT活動の取材、放送のご案内

多田です。

先日、2014/8/20の土砂災害における、DMATの活動について、センター長と自分がRCC(中国放送)、小林アナウンサーの取材を受けました。

センター長は、DMAT全体を俯瞰する視点で、自分は安佐北消防署管内の活動をまとめた視点でお話しさせていただきました。
広島地区限定ですが、2014/09/09 18:15-18:56の「ニュース6」番組内での放送です。

お時間が許せばご覧ください。

2014年9月6日土曜日

【救われたいのち~広島土砂災害】

多田です。

先日、フリーアナウンサーの西村正行さんの取材を受けました。
土砂災害でのDMAT活動について、お話しさせていただきました。




お時間が許せばご覧ください。

2014年9月3日水曜日

土砂災害のDMAT活動について、よかったことと、改善するべきところを思いつくまま

多田です。

医療的には今回の災害対応は収束しつつあります。
忘れてしまう前に、今回の災害対応について、よかったことと、改善するべきところを、次の災害に生かすべく挙げておきます。

<よかったこと>
・DMAT隊員が怪我なく活動を終了できたこと

・医療専用である、ドクターヘリを活用できたこと

・病院全体で対応できたこと

・昨年度、院内災害対策訓練とDMAT訓練(そのときの投稿はこちら)を同時に行っていたため院内対応が円滑だったこと

・クラッシュ症候群が原因で、救助後に「現場で」なくなった患者さんがいなかったこと

・普段、顔の見える関係のO救命士さんが、現場で静脈路を確保できたこと

・消防署を活動拠点本部にさせていただいたことで、情報の共有がスムーズにできたこと

・所長室を本部として使用させていただいたことで、さらに情報の共有がスムーズにできたこと

・DMAT広島県本部との情報共有はうまくいったこと

<改善するべきところ>
・隣県のヘリが、広島ヘリポートの駐機スペースの問題で、1機しか呼べなかったこと

・直近の3次医療機関への情報提供がおろそかになってしまったこと

・災害の規模がわからず出発したため、装備が十分でなかったこと

・当院のDMATカーが、緊急走行が続けられなかったこと(すでに修理済み)

・安佐南のDMAT活動拠点本部とのコミュニケーションが遅れたこと

・極一部のDMAT隊が、不十分な装備で現場に入っており、活動拠点本部として、出発前に現場出動隊の装備品のチェックをした方がよかったこと

以上が、思いつくままに書き留めた今回のよかったことと、改善するべきところです。
また、病院や圏域での検証をして、よりよい災害医療を目指して行きたいと思います。


クタクタで帰院した病院の医局には、こんな気の利いた差し入れが!
うれしかったです。